ソーセージ作りに関するご質問で、いちばん多いのがこれです。
「作ったソーセージがボソボソするんですけど……」
ボソボソ、ザラザラ、モソモソ、ぐちゃぐちゃ。人によって言い方は違いますが、状態は同じで「肉が結着(けっちゃく)していない」ソーセージです。ゆでたハンバーグのようになって、プリッとしません。
私(店長カワモト)も何度も経験しています。このブログにも原因や対策をその都度書いてきましたが、記事が8本以上に分かれてしまったので、1本にまとめ直しました。うまくいかなかったときは、上から順に当てはまるものがないか確認してみてください。
まず症状から原因のあたりをつける
| 症状 | 考えられる原因 | 読むところ |
|---|---|---|
| ボソボソ・ザラザラ・ゆでたハンバーグみたい | 温度上昇/肉の鮮度/練り不足/配合/結着を邪魔する材料 | 原因1〜5 |
| 焼くと皮の中に水と脂がたまってはねる。炭火だと皮が破けて肉がバラバラになる | 結着していない(原因は上と同じ。温度が一番多い) | 原因1 |
| うまくいく時といかない時がある | 温度管理の省略/肉の当たり外れ | 原因1・2 |
| ボイル中に皮が破れる | 詰めすぎ/卵白をフードプロセッサーで混ぜた | 原因5・皮のトラブル |
| 腸詰め中に羊腸が破れる・絡まる・端が見つからない | 羊腸の扱い | 皮のトラブル |
| 味はいいのに皮がパリッとしない | 乾燥+燻煙をしていない | 皮パリについて |
| 生地が固くて絞り袋から出ない | 実は成功のサイン(結着がいい生地) | 皮のトラブル |
原因1:肉の温度が上がった(いちばん多い)
ボソボソの原因で圧倒的に多いのがこれです。肉を練るときは氷を入れるので低温ですが、腸詰め・ねじり・空気抜きに時間がかかっている間に温度が上がります。温度が上がった肉は結着せず、ボイルすると脂が流れ出てボソボソになります。
目安の温度
- 作業中の肉は15℃以下、できれば10℃以下
- ボイルする直前(腸の中の肉)で15℃以下が理想
- 15℃を超えた状態が10分以上続くと、失敗する可能性が高くなります
- 肉が20〜40℃の温度に長くいると結着しません(乾燥・スモークをする場合は特に注意)
目安の時間(500g・羊腸2mの場合)
- 腸詰め 3分以内
- ねじり 1分以内
- 空気抜き 1分以内
- 合計5分以内。2〜3回作れば慣れて5分でできるようになります
対策
- 羊腸はあらかじめ塩抜きして口金にたくし上げておき、生地ができたらすぐ詰められる状態にする
- ボウルを2つ重ねて間に氷を入れた「2重ボウル」を用意し、練り・腸詰め後のソーセージ置き場にする
- 絞り袋やスタッファーに入りきらない生地は冷蔵庫へ。使う分だけ出す
- ねじるときは手で握る時間を短く(手の熱でも温まります)
- 夏はエアコンをつけていても道具が全部室温です。ボウルも口金も冷やしておく
- 温度計で要所要所を測る。「感覚」ではなく数字で確認すると原因が絞れます
- ソーセージスタッファー(業務用)を使う方は、シリンダーを冷蔵庫で冷やしておく、または保冷剤を巻き付けて作業する。3kg詰めている間にシリンダーからの熱で肉が温まります
慣れてきた方ほど要注意 「今までうまくいっていたのに急にできなくなった」というご相談は、たいてい温度です。手際がよくなると、冷やしながら作る手順を省いてしまうことがあります。バラつきが出たら、まず温度管理を見直してください。それでもバラつくなら、肉を買う店を変えて確かめてみてください。
▶ 詳しく:手作りソーセージがボソボソになる一番の原因=「温度上昇」その対策
▶ 詳しく:ソーセージスタッファーで肉がボソボソになる原因と対策
▶ 詳しく:夏はソーセージが作りにくい季節です[失敗対策]
原因2:肉の鮮度(冷凍→解凍の挽肉)
温度管理をしっかりやってもボソボソになるときは、肉を疑ってください。
肉に含まれるタンパク質が塩と反応してくっつくことで、プリッとした食感になります。冷凍→解凍した肉はドリップと一緒にこの成分が流れ出てしまい、どんなに上手に作っても結着しません。
- スーパーの挽肉は冷凍→解凍したものがほとんどです。私の経験では、ソーセージに使える挽肉に当たる確率は7割くらい。パックにドリップが出ているものはやめておきましょう(賞味期限内でも不向きです)
- 精肉店の挽肉は冷凍していないので失敗が少ないです。買ったその日に作ってください
- 塊肉を自宅のミンサーで挽くと結着のいいソーセージになりますが、挽いている間に肉が温まらないように注意
- 部位は豚の肩ロース(赤身7:脂3)が最高ですが値段が高いので、まずは精肉店の挽肉で練習を。精肉店の挽肉は肩肉が主で、結着も香りもいい部位です
▶ 詳しく:手作りソーセージにおすすめの肉の部位はどこかという話です
▶ 失敗例の写真:ソーセージ作り失敗(ボソボソ)はこんな感じというダメな例の写真
原因3:練り不足
温度も肉も大丈夫なのにボソボソなら、練りが足りていない可能性があります。私も1kg分を手練りしたとき、腕が疲れて途中で切り上げたら見事にボソボソになりました。
- 練り完了のサイン:生地を大きめにまとめて片手でつかんだとき、プリンと弾力があり、だらだらと落ちない状態
- 500g(肉400g)なら手練りで10分くらい。手早く力強く休まず練れれば5分
- 1kgを手で練るのはかなり大変です。慣れるまでは500gで作ると失敗が少ないです(当店のキットのレシピが500gなのはこのためです)
- 生地が固くて絞り袋から出にくいのは、練りがうまくいっている証拠です(対処法は「皮のトラブル」へ)
▶ 詳しく:練りが悪くてソーセージ作りを失敗しちゃいました
原因4:配合(脂と水)
- 脂は全体の2割程度必要です。脂が少ないとボソボソします
- 赤身に脂を足すなら、豚の背脂か肩肉についている脂。溶けにくいのでおすすめです
- バラ肉の脂は溶けやすいのでおすすめしません。牛脂はボイルで溶けてしまうので使えません
- 水(氷)も2割必要です。500gの生地なら肉400g+氷水100g。低温で練ることでタンパク質が結合するので、氷を入れずに練るとダメです。夏は氷水にすると温度も上がりません
原因5:結着を邪魔する材料・組み合わせ
温度・肉・練り・配合が全部OKでもボソボソになる材料があります。
| 材料・やり方 | 何が起きるか | どうするか |
|---|---|---|
| レモン汁など酸の強いもの | 少量でも結着しなくなります(酸でタンパク質が先に固まる)。私は5回試作して全部ボソボソでした | 果汁は寒天で固めて閉じ込める裏技があります → レモン&ペッパーソーセージ完成レシピ |
| 唐辛子・パプリカ | 結着が悪くなります。大量に入れるとボソボソ | 入れる順番にコツがあります → 無添加チョリソー完成レシピ |
| 卵白+フードプロセッサー | 高速回転で卵白が泡立ち、気泡で結着しません。ボイル中に破れることも | 卵白を使うなら手練りで。速度調節できるフープロの低速ならOK → 詳しく |
| こんにゃくペースト | 保水力で良くなるかと思ったら逆に結着が悪くなりました | おすすめしません → 実験記事 |
| 粗挽き肉だけ | 粗挽きだけでは結着しません | 粗挽き肉+エマルジョン生地(またはよく練った細挽き)を合わせる → 失敗例 |
| 牛肉・鹿肉・羊肉など豚以外 | 結着しにくい肉です。手練りではまずボソボソになります | フードプロセッサーでエマルジョンにする。初心者の方はまず豚肉で → 豚以外の肉・ジビエのレシピ一覧 |
原因6:加熱の温度
- ボイルは70〜75℃をキープ。75℃を超えると脂が溶け出して分離します
- ボイルせずに乾燥やスモークをする場合、肉がじんわり温かい状態(20〜40℃)が長く続くとボソボソになります。冷蔵庫など低温の場所で乾燥・燻煙するか、温風で短時間で乾燥させてください
▶ スモークの順番について:「ボイルしてから燻煙?」それとも「ボイルの前に燻煙?」
皮のトラブル(羊腸が破れる・絡まる・端が見つからない)
- 腸詰め中に破れた:はみ出た肉を取り出し、ハサミで腸を切って、肉が詰まっている側の端を玉結び。口金側の羊腸も少し肉を出して玉結びしてから再開します → 破れた時の対処法
- 羊腸が絡まる:ボウルではなく平らなバットで塩抜きを。袋から出した輪っかのまま水に入れず、ほぐして長さを確認してからカット、重ならないように水へ。15〜20分で塩抜き完了 → からまない羊腸の塩抜き方法
- 端が見つからない:動画にしました → 羊腸の端の見つけ方
- 絞り袋が固くて肉が出ない:結着のいい生地ができている証拠です。絞り袋に麺棒を巻き付けて回すと力がかかります。袋に入れる肉は少なめに → 麺棒を使う方法
皮がパリッとしない
これは失敗ではなく、工程の違いです。ボイルだけでは皮パリにはなりません。乾燥+燻煙でパリッとします。60℃くらいの温風で乾燥させてから燻煙するのがコツで、乾燥だけでも少しパリッとしますが、両方やるとしっかり「皮パリ」になります。
▶ 詳しく:手作りソーセージで皮をパリッとさせるコツ
▶ 設定の基準:オリジナルスモーカーで皮パリソーセージを作るときの基本の設定
失敗したソーセージはどうする?
捨てなくて大丈夫です。私は毎回食べています。
- 焼いたりスープに入れたりして普通に食べられます
- どうしてもボソボソで美味しくないときは「これは挽肉だ」と思って、細かく切って挽肉入り野菜炒めやカレーに。ハンバーグのような練る料理には向きません
- 注意:結着していないソーセージをフライパンで焼くと、皮の中に溶けた脂と水がたまって沸騰し、はねることがあります
次に作るときのチェックリスト
買い物
- ☐ 肉は精肉店の挽肉(冷凍していないもの)。ドリップが出ていない
- ☐ 脂は2割くらい。足すなら背脂か肩の脂
- ☐ レモン汁・唐辛子・卵白など結着を邪魔する材料は入れない(入れるならコツを読んでから)
作る前
- ☐ 羊腸は塩抜きして口金にセット済み
- ☐ 2重ボウル(氷入り)を用意
- ☐ ボウル・口金など道具も冷やしてある(特に夏)
- ☐ 温度計を手元に
練り
- ☐ 氷水は肉の2割(肉400gに氷水100g)
- ☐ 片手でつかんでプリンと弾力、だらだら落ちないまで練った(500gで約10分)
- ☐ 練り上がりの温度が10℃以下
腸詰め〜ねじり
- ☐ 腸詰め3分・ねじり1分・空気抜き1分、合計5分以内
- ☐ 使わない生地は冷蔵庫
- ☐ 詰め終わったソーセージは2重ボウルへ
- ☐ ボイル直前の肉の温度が15℃以下
加熱
- ☐ ボイルは70〜75℃を保つ(75℃を超えない)
それでもうまくいかないときは
上の項目を全部見直してもボソボソになる場合は、お問い合わせください。ソーセージ作りの相談は毎日いただいていますので、遠慮なくどうぞ。そのとき、次のことを教えていただけると原因を絞りやすいです。
- 肉をどこで買ったか(精肉店/スーパー、冷凍か)
- 手練りかフードプロセッサーか、練った時間
- 入れた材料と分量(全部)
- 腸詰め〜空気抜きにかかった時間
- 測っていれば、練り上がりとボイル直前の肉の温度
- できれば断面の写真
パクモグドットコムのお問い合わせフォームから、店長カワモト宛にお送りください。買う前のご質問でも大丈夫です。
この記事で出てきた道具
売り込みは控えますが、ボソボソ対策にいちばん効くのは「温度計」と「2重ボウル」です。温度計は私が使っているものを道具一覧に載せています。2重ボウルは家にあるボウルを2つ重ねて氷を入れるだけです。
はじめての方は、失敗しにくい500g(肉400g・羊腸2m)のレシピから作ってみてください。
手作りソーセージの材料・道具は パクモグドットコム で
作り方で困ったことがあれば お問い合わせ から店長カワモトにご相談ください。買う前の質問も歓迎です。

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